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ちょっとえっちな短篇集

第14章 王子様は目覚めない

わらの方がまだ温かい
繕いようもない布団とは違います。

寝ながら夜空が見えた穴だらけの屋根や
屋根すらない場所とも違います。

何より違うのが悠一郎様の優しさです。

「さやか、口づけをしてくれるかい」

「はい、悠一郎様」

口づけは私からいたします。

高く通った鼻、
伏せられた瞼ははりがあり瑞々しく、
まつ毛は長く多く

お美しいこの顔をこの距離で見ることができるのです。

眼なんてつむっていられません。

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