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ちょっとえっちな短篇集

第5章 ひねもすのたり

「よっちん…」
ザバザバと水音を立てて近寄ってきたたかしで影ができる。

「何?だから私は大阪の学校行くよ、この町にもっと観光のお客来さん来て町のいいところ知ってもらうためにさ」
「ん…それは分かったんやけど、寂しいな、思て」

本当に寂しそうな顔、感情がそのまま表れるたかしのこういう表情に私は弱い。
肩を掴まれて向き合う、私より背の高いたかしを見上げると太陽が眩しくて目が痛かったから、

目をつぶった私の唇に、そっとたかしの唇が触れた。
「触ってもええか?」
「ここじゃダメだよ」
高台になってる家のどこからも見えてしまう。
娯楽の少ないここじゃこういう話は一瞬で、本当に一瞬で広まってしまうから。

「海から上がってあっちの林に行こ」

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