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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

「私はあの鳥と同じく籠の中の鳥ですわ。一生誰からも愛されることなく、振り向かれることもなく、焦がれるような想いを抱き続けて空しい刻を過ごしてゆくのでございますね。彼(か)の鳥は梨羅の樹と共に砂漠の原産です。あの鳥もはるかなふるさとである砂漠をどれほど懐かしく思い、焦がれていることでしょう」
 判りきってはいたことだったけれど、押しつけられた妻なのだとこうも面と向かって直截に言われるのは流石に辛い。

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