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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

「いらっしゃい、いらっしゃい」
 その中でも女性客が目立つ小さな露店の主は、小柄ででっぷりと太っていた。年はそろそろ五十に手が届くという頃合だろうか。砂漠の民であることを示す長衣に頭には被り物をしている。
 彼は先刻から一人の客の動向を見るとはなしに見ていた。まだ三十そこそこほどの男が熱心に露台の品々を検分している。この露店では香水を商っている。道理で、女性の客が多いはずだ。

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