仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~
第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~
三国共通の言語―公用語が定められているものの、実際に使用される機会は意外に少ないのが現状である。今も市の喧噪の中で聞き取れる会話の断片は、それぞれの国の言葉が圧倒的に多い。どの国でも幼い時分から他国の言葉を習うので、簡単なやり取りなら誰でもできるし、日常の生活に支障をきたさない程度の語学能力を持っているのが普通なのだ。三国のどの小学校でも公用語の他に他国の言語、つまり外国語が正規の授業としてカリキュラムに取り入れられている。