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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第1章 第一話 砂漠の花

「―判りました。仙王様。私は生まれてから今まで十五年間というもの、まだこのふもとの小さな村を出たことはございません。しかしながら、はるか遠方の砂漠に伝わるという話を村の長老や語り部から耳にしたこともございます。そのような昔語りが果たして仙王様のお気に召すかどうかは判りませんが、どうかお聞き下さいませ」
 美芳は言い終えると、仙王の瞳を真っすぐに見つめた。そのどこか挑むような眼差しに、仙王が満足げに微笑む。

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