仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~
第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~
その少女―だと思い込んでいた妻が実は少年であったことは、修明は翠華には告げなかった。たとえ彼の人が女であろうと男であろうと、修明の犯した罪の深さは変わりない。 やわからくて華奢な、少しでも力を込めれば脆くも壊れそうなほど儚い身体だった。あの細い身体を抱いたときの哀しげな顔、激情に任せて刺し貫いた瞬間の苦しみに満ちた表情―、すべてが今も修明の眼裏に灼きついている。あれから十年を経た今もなお繰り返し寝ざめの夢に現れるのだ。