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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

 五十年に一度花開くという砂漠の花、リーラが夜陰に白い花をくっきりと現していた。大輪の白き百合にも似て、風に乗って得も言われぬ芳香が鼻腔をくすぐる。
 砂漠を越えた向こうにある東方の国超(ちょう)では「幻の花」といわれ、その葉は不老不死の妙薬として珍重されていると聞く。超の何代か前の皇帝は、わざわざ家臣に命じて、このリーラの葉を取りにやらせたというが、結局、使者は命を果たすことは叶わなかった。

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