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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

 彼は死の砂漠へと足を踏み入れた挙げ句、運つたなく力尽きて倒れ、亡くなってしまったのだ。リーラの樹は砂漠に生きる民にとっては、それほどに珍しいものではなく、水辺ならむしろよく見かける樹だ。
 隊長の声に、良人もハッとリーラの樹を見上げた。
 たった一つだけだが、確かに、たおやかで清楚な花が咲いていた。その時、燃え盛る炎が良人の姿を夜陰に浮かび上がらせた。

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