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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

 良人はいで立ちこそ長衣に長い被りもの、頭には輪を填めていて砂漠の民の伝統的な民族衣装であったけれど、明らかに隊商(キャラバン)の男たちとは人種を異にしていた。
 と、隊長が愕きに眼を瞠った。その視線が良人の背後に吸い寄せられる。風にウェールをさらわれた妻は瞬時のことについ油断してしまったらしい。あまりに世間知らずであり、稚(おさな)くもあったのが災いしたのか、彼女もまた、「幻の花」と謳われるリーラの花に見とれていた。今、幼い妻は無防備に隊商の男たちにその姿をさらしていた。

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