テキストサイズ

仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

 夜目にも白いすべらかな肌は、しっとりと光沢を帯びたように艶(つや)やかだ。
 それまでいかにも人の好さそうな笑顔を絶やさなかった隊長の表情がまるで別人のように変わっていた。頬の赤く引きつれたような疵痕が彼の危うい雰囲気を余計に増している。全身から磨き抜かれた刀剣のごとき殺気を発散させているその姿は、到底、ただの隊商(キャラバン)の商人とは思えない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ