テキストサイズ

仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

「止めろ―!!」
 リーラの樹に縛められた良人が叫ぶ。その叫びは振り絞るように深い夜の闇をつんざいた。
 良人は、我が眼の前で妻が隊商(キャラバン)の男、いや、盗賊たちに乱暴されるのをなす術(すべ)もなく見つめるしかなかった。
 やはり、妻を―、梨羅を連れ出したのは間違いであったのかと苦い後悔が一挙に胸に押し寄せる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ