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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

 白い背中には、鞭(むち)で打たれたような跡さえ残っている。猛訓はあまりの惨状に言葉すら失い、震える手で恋人の背に触れた。
「梨羅―」
 震える声でその愛しき名を呼んでも、最早恋人はその瞼を固く閉じたままで、身じろぎもしなかった。
 あまりの激しい責め苦に、少年の身体は耐え切れず、息絶えてしまったのだ。
 猛訓の切れ長の双眸からついとひとすじの涙が流れ落ちた。

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