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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

「許してくれ」
 猛訓は泣きながら、その場に崩折れた。猛訓が零す涙は次々に乾いた砂に落ちた。
 猛訓はそのまま、その場に倒れ伏し、泣き続けた。食べることも眠ることさえ忘れて、最愛の恋人の死を嘆き続けた。
 やがて、三日三晩泣き続けた猛訓は、心を失った虚ろな抜け殻となり果て、数日めに息絶えた。愛する恋人の傍らで眠るように逝った男は微笑むような表情で息を引き取った。

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