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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

「それでは、これにて一つめの話を終わりとさせて頂きます」
 美芳は語り終えると、小さな息を吐いた。
 自分の話が眼の前の美しき仙人の王を満足させたのかどうかは判らない。彼(か)の美しき王は、憂いに満ちた表情で美芳を見つめた。永遠とも思える沈黙の後、仙王が切なげな吐息を洩らした。
「何とも哀れなる話だな」
 仙王の美しき眼(まなこ)に光るものを、少女はその時、確かに見た。

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