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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第1章 第一話 砂漠の花

 仙王の住まう宮殿の庭園には、宝寿草の樹が幾つもあるそうな。少女はそんな伝説に一縷の望みを託し、ふもとの小さな村からたった一人で険しい山道を徒歩(かち)でやってきた。
 少女が小川のたもとでふいに立ち止まった。喉の乾きを癒すために水を呑もうとして、しゃがみ込む。両手を水に浸すと、心地良い冷たさを指先に感じ、後は夢中で水を掬って、喉に流し込んだ。たちどころにして、身体中が潤ってゆく。

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