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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第3章 第二話 梨羅の姫君

 だが、まだ更に二つの話をしなければならない。美芳は気を緩めてはいられなかった。ふもとの小さな村では、母が美芳の帰りを待ち侘びているのだ。母のためにも宝寿草を持って帰らなければならない。
 仙界のありとあらゆる仙人を統べるという仙界の王―仙王が静かな眼差しで美芳をその透き通った輝ける玉座から眺め下ろしている。その視線を逸らすことなく真っすぐに受け止め、美芳は最初の言葉を口に乗せる。

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