仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~
第3章 第二話 梨羅の姫君
そんなある日、海を隔てたはるか遠くの大国超(ちょう)から遣いが寄越されました。超と羅はいにしえより同盟を結ぶ関係にありましたが、この度、新たな和平の証(あかし)として是非姻戚関係を結びたいと申し出てきたのです。もし国王の姫君の一人を迎えることが叶えば、超は今後百年間は一切羅には攻め込まないと申します。残念なことに、当時の羅は同盟国とは申せ、その国力は超と並ぶべくもなく、盟約の証として末の姫君は海を越えた遠き異民族の国へとはるばる嫁いでゆかれることになりました。国王は愛娘を泣く泣く手放されたのです」