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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

第二話―梨羅の姫君―

 羅の国王は愛娘のために財を惜しむことなく美々しい花嫁支度を整えた。贅を尽くした花嫁衣装は、やわらかな光沢のある絹織物を使い方々に珍しい宝石をあしらい、金糸銀糸で精緻な刺繍が縫い込まれている。調度品も当代一流の細工師が腕によりをかけた名品ばかりであった。その贅の限りをこらした数々の品は、当時の羅の高い文化を誇らしげに象徴するかのようでもあった。

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