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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

「長の船旅に続き、儀式の数々はさぞ御身にはこたえたであろう」
 ふいに頭上から温かな声が降ってきて、桃華は思わず伏せていた顔を上げた。
 聞いていた歳よりは若々しい、精悍な風貌の男が笑顔で自分を見下ろしていた。超といえば十代以上も続いた王朝で、大国の皇帝は玉座に座っているだけの優男なのかと思って
いたけれど、眼前の男は上背もあり、まるで武人のように逞しかった。やはり、桃華と同じような白一色の寝間着姿である。

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