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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

 初夏とはいえ、夜更けともなれば、夜気にもひんやりとしたものが混じる。元々、この超は南国の羅とは異なり、一年を通して気温がさほど上がらない。冬の厳しさも殊の外と聞く。皇帝を見上げた桃華の瞳に一瞬、怯えの色が走った。それに気づいているのかいないのか、皇帝は唐突に桃華の華奢な身体を抱き上げた。あまりに突然のことに、桃華は身体を強ばらせる。

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