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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

そんな彩鳳に、桃華は次第に魅かれてゆくようになった。だが、彩鳳はあくまでも年若い妻に対して常に隔てを置き、あたかも保護者のような態度を崩さない。それは本当にごく薄い紙のような隔たりではあったけれど、桃華にとってはけして越えられない厚く高い壁にほかならない。意思の強そうな濃い眉に反して穏やかな光を湛えた深い瞳、秀でた額、整った鼻梁、どれもが彩鳳が優れた為政者であることを示していた。

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