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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第4章 二つめの物語~梨羅の姫君~

 正式な皇后に立てられてからも、桃華は良人が臣下や女官を声を荒げて怒るのを一度も眼にしたことがなかった。実際、彩鳳は文治帝(ぶんちてい)、または文宗(ぶんそう)と呼ばれ臣民からも慕われているとおり、学問や法の力で世を治め、彼の治世は既に二十年にわたっていたが、その間、戦(いくさ)が起こったことはなかった。

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