花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第1章 恋花(こいばな)一つ目~春の夢~壱
我が子太助の野辺送りの翌日、ひっそりと亡くなったおみのが哀れでならなかった。おみのは、長屋の近くの川に身を投げて死んだのだ。瀬田川亮馬は仏罰が当たったのか、頻繁に通っていた賭場で諍いに巻き込まれて亡くなった。おみのが入水自殺してから一年後のことだ。
清七は小さな息を吐いた。元々、酒など呑んでいないのだから、高揚している気分なぞ容易くしぼんでしまう。おみのや太助が亡くなるまでは、清七もそこそこは呑める質であった。
清七は小さな息を吐いた。元々、酒など呑んでいないのだから、高揚している気分なぞ容易くしぼんでしまう。おみのや太助が亡くなるまでは、清七もそこそこは呑める質であった。