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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第1章 恋花(こいばな)一つ目~春の夢~壱

 だが、恋女房と倅を亡くしてからというもの、好きだった酒も全く身体が受けつけなくなってしまった。少しでも口にすると、忽ち吐き気がして、全部吐いてしまうのだ。
―なあ、おみの。俺はどうしたら良い?
 清七は川べりの人気のないひっそりとした小道を歩きながら、亡くなった妻に問いかける。

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