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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第7章 恋紫陽花 参

 ひと雨毎にうつろい、深まってゆく色は、もしかしたら人を想う心、恋心に似てはいないだろうか。
 物想いに耽りながら、お民は夜陰にひっそりと浮かび上がった蒼い花を見つめていた。

 その同じ頃、源治は徳平店のお民の家を覗いていた。だが、部屋内にお民の姿は見当たらず、源治はひと度は自分の家に戻ったものの、何故かじっとしていられず再び外に出たのである。

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