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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第9章 花いかだ 其の弐

 随明寺が殊に有名なのは、月に一度、浄徳大和尚の命日に催される縁日市であった。縁日市の日は広い境内に所狭しと露店が立ち並び、あまたの善男善女で賑わう。
 更にその中でも秋の縁日市は〝大祭〟と呼ばれ、多くの僧侶が本堂で読経を捧げ、その後、僧たちが本堂の周囲をぐるりと巡らせた回廊を歩きながら、紅白の餅や散華を待ち受ける民衆に向かって投げる。

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