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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第9章 花いかだ 其の弐

 弥助が眉をつり上げると、おれんは、悪戯に成功した子どものような表情で声を立てて笑った。
「罰(ばち)ですよ。女心をちっとも判ってくれなくて、十日もの間、待ちぼうけを食らわされたんですもの」
「この―!」
 弥助もまた、笑いながら引き寄せる。
 抱き合ったまま褥の上に倒れ込み、二人はこの日、三度めのめくるめくひとときに我を忘れた―。

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