花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第10章 花いかだ 其の参
弥助にとっては、美空はもちろん、おれんも大切な存在だ。その大切な二人が仲好く家族として暮らしてゆくためにも、二人にとっていちばん良い応えを見つけたい。
徳平店から〝花のれん〟までは、歩いてもたかが知れている。これからのことを考えると、弥助の心も自然と浮き立った。面を上げると、琥珀色の月が夜空に浮かんでいる。
弥助はふと立ち止まった。折しも町人町も外れの和泉橋に差しかかったところである。橋の上に佇んで円い月を眺めていると、冬の夜風が川面を渡っていった。
徳平店から〝花のれん〟までは、歩いてもたかが知れている。これからのことを考えると、弥助の心も自然と浮き立った。面を上げると、琥珀色の月が夜空に浮かんでいる。
弥助はふと立ち止まった。折しも町人町も外れの和泉橋に差しかかったところである。橋の上に佇んで円い月を眺めていると、冬の夜風が川面を渡っていった。