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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第10章 花いかだ 其の参

 弥助を見たおれんが華やいだ笑顔で出迎えた。この間と同じ席に座りながら、弥助は金平と青菜のおひたし、蛸と胡瓜の酢和えを注文する。そのついでに、酒も一合だけ頼んだ。
 待つほどもなく、小鉢に品良く盛られた料理と酒が運ばれてくる。弥助はおれんに酌をして貰いながら、上機嫌で盃を重ねた。元々、弥助はいける質(たち)で、かなりの酒量を呑んでも、少しも酔いが表に出ない。

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