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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第10章 花いかだ 其の参

「おい、これだけ月がきれいな夜なんだから、幾ら何でも雪はねえだろう」
「それもそうだな。さ、早く帰(けえ)ろうぜ」
 二人の声が聞こえなくなり、〝ありがとうございました、お気をつけてお帰り下さいまし〟と、おれんの声が帰こえてきた。
 ほどなく、おれんが戻ってきた。
「ごめんなさい。お酒がもうなくなってるわ」
 おれんが慌てて立とうとするのを、弥助は止めた。

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