花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第11章 四つめの恋花 山茶花~さざんか~ 其の壱
吉原遊廓に身を沈めた千汐は、半籬の見世で働くことになった。吉原には遊廓においても格というものがある。まずは大籬、これは最高級の格式を誇る大見世であり、お職を張る花魁を抱えることのできる見世だ。当然、顧客も大店の旦那衆とか、高禄のお武家といった錚々たる面々になる。
その次が半籬、大籬には劣るけれど、やはり相応の格式を持ち、登楼する客も金のある連中が多い。千汐は母に似て、色白でうりざね顔の美貌であった。その美貌を見込まれ、半籬の見世の楼主に買われたのだ。
その次が半籬、大籬には劣るけれど、やはり相応の格式を持ち、登楼する客も金のある連中が多い。千汐は母に似て、色白でうりざね顔の美貌であった。その美貌を見込まれ、半籬の見世の楼主に買われたのだ。