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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第11章 四つめの恋花 山茶花~さざんか~ 其の壱 

 改めて、このようなお人好しを地でいくような男が、おつなのような女の好みであるはずかないと確信する。
 しばらくの沈黙の後、千汐と男は顔を見合わせた。どちらからともなく笑い出すと、ひとしきり笑いは止むことなかった。
 男が笑いをおさめると、千汐も真顔になった。唐突に沈黙が訪れる。
「私は、あの女の真心を疑いたくはないんだかな」

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