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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第13章 山茶花~さざんか~ 其の参  

 曽太郞とめぐり逢ったのは、師走に入ってすぐのことだ。その後、ひと月近く、千汐は客を取っていない。少なくとも、あの剣呑な眼をした男に空き家に連れ込まれ、手込めにされた日までは、客を取ってはいなかった。
 だが―。曽太郞と出逢うその前の夜まで、千汐は日に二、三人の客を取っていた。であれば、腹の子の父親が曽太郞だという希望はあるものの、その前に身体を重ねた客たちのいずれかの種である可能性も依然としてあるのだ。

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