テキストサイズ

花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第1章 恋花(こいばな)一つ目~春の夢~壱

 左官をしている清七は丁度、運悪しく、そのときは留守にしており、おみのは生後二ヵ月になったばかりの太助と二人きりであった。おみのをさんざん陵辱した瀬田川が一刻後、プイと出ていった後、おみのは半狂乱になって太助を抱き上げたが、既に赤児は事切れていた。
 おみのは辱められたこと、我が子を奪われたことを苦にして、その三日後、自ら生命を絶った。まだ十九の若さだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ