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甘恋〜こ、こんなのあり?〜

第11章 文化祭①〜雅×陸×瑠衣〜

瑠衣の小説を受け取ると、あたしはパラパラと読み始めた。


「恋愛物なんだ。なんか意外」


作品のタイトルは“気づかぬ君へ”。

さーっと目を通すと、どうやら彼女のことが好きなのになかなか気づいてもらえず、遠回りしながらも彼の気持ちに気づいていくという物語。


主人公の男の子の好きだと伝えられない歯がゆさや伝えたら壊れてしまうのではという怖さ。


色んな気持ちが文章として的確に書かれている。


「今年のテーマが“雅”だったので、彼の見る景色なんかの描写にはこだわったんですよ!

先輩もぜひ買ってくださいね♪」


瑠衣はにこっとスマイルをあたしに向けて去って行った。


まぁ、毎年文化祭に作品を出展して売っていても、売れるのはほんの数冊。

だから部としても印刷する部数はかなり少なくしている。


最終的に売れなかった作品を買うのは部員であるあたしたちなんだよね…


「あたしの作品、今年こそは売れて欲しいなぁ…」


去年、初めて書いた作品を文化祭で出展したものの…

あたしの短編小説だけ、まったく売れなかった。


あの頃は初めて小説というものを作ったから、知識もなにもなかったけど…


今回は去年の悔しさを経ての挑戦だもん。


なんとしても売って部に貢献しなくては!!

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