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甘恋〜こ、こんなのあり?〜

第19章 知らない雅の姿

「でも…親父も母さんも厳格な人たちではなかったから、

俺のしたいことがあればさせてくれたし、いつだって優しかったから。

親の愛情はもらえてたと思う。


それでも、親父も仕事だから家にいるのはメイドや執事ばっかりだったけどな」


そうだったんだ…


でも…大学で会った女の人は、誰だったんだろう。


「学校で友達って言っても、金持ちばかりが集まるところだからさ。

みんな上辺の会話しかしないわけ。


だからー…親父に相談したんだ、この屋敷に住むこと」


「えっ…お父さんが勝手にあたしたちを雇ってくれって言ったんじゃー…」


首を横に振る雅の顔は、あまり言いたくなさそうな顔してた。


でも、仕方ないといったように話し始めた。


「本当の俺を出せる場所が欲しかった。

なんでも言える相手が欲しかった。



だから、うまく親父に話して心乃をメイドにしてもらったんだ」


知らなかった。


てっきり、父親同士のやり取りだとばかり思ってたのに…


雅から頼んでいたことだったのね。


それに……


「雅は、いま…


思ったこと、話せてる?

あたしたちに、言いたいこと言えてる?」


あたしの質問に、雅はいままでに見たことない最高の笑顔で答えた。


「当たり前だろ」


…よかった。

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