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甘恋〜こ、こんなのあり?〜

第21章 夕焼けの心

「陸…!

なんで、ここに?」


ズボンのポケットに手をつっこんでこちらをじっと見ていた陸。


そのままあたしの隣まで駆けてきて、座った。


「文芸部、今日ないのに遅いなって思ってさ。

だからここかなって思って」


「そうだったんだ…

よくここにいるってわかったね」


あたしの言葉に、陸はにかっと笑った。


「お前のことなんてだいたいわかるっつーの!

おおかた、雅のことで悩んでたんだろ?違うか?」


わ…するどい。


陸にはなんでもお見通しなのかな。


「自分の気持ちがよくわかんなくなっちゃって。あたしは誰を一番大切に思ってるんだろうって…


考えてたらさ、余計わかんなくなっちゃって。バカだよね」


ふーん、と言った陸。

そしてしばらく沈黙が続いていた。


「心乃の気持ちも大事かもだけどさ、本当は雅の相手のこと…

気にしてんじゃないのか?」


沈黙を破った陸の一言に、胸がチクっと痛む。

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