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甘恋〜こ、こんなのあり?〜

第4章 年下男子

文章構成能力っていうのかな。

そーゆー力をつけたくてこの文芸部に入ったんだけど…ひとつの作品を仕上げるのに数ヶ月。


地道に行うこの作業は、いまのあたしにはなかなか大変だったりするのだ。


「わかってますけどぉー…」


わかっちゃいるけど、やる気になれないとはまさにいまだ。

1週間後からの生活を考えると、不安しか出てこない。


「はぁ〜〜〜あ」


先程よりも大きなため息、ひとつ。


「心乃先輩、どーしたんですか?」


いきなりひょこっと机の下から顔を覗かせたひとりの少年。

猫のようなくるんとした癖っ毛に、いつもよれっとした制服の着こなし。

でもキョトンとしたときの顔は超がつくほど可愛らしい、この猫みたいな生き物。


「瑠衣ぃ…」


あたしはその少年の頭をくしゃくしゃと撫で回す。

この可愛い生き物…いや、少年はひとつ年下の後輩である櫻田瑠衣。


文芸部の後輩で、彼の書く小説に何度涙を流したことか。

そのくらい才能のある奴なのだ。

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