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甘恋〜こ、こんなのあり?〜

第8章 天然くんの瑠衣

「ん〜〜〜っ!どうしよう…」


頭を抱えて悩んでいると、ふと頭に温かいなにかが乗っかった。


あ…瑠衣の手だ。


ぽんぽんって。
まるで小さな子どもをなだめるみたいな撫で方。

自分の方が年下で後輩のくせに。

なんでそんなに優しいのよ…


「心乃先輩、最近忙しいって言ってましたけど…

それ、僕には話せないことですか?」


目の前にあった顔がすっとなくなり、今度はあたしの座っていた席の隣に座る瑠衣。


別に、瑠衣に話せないことじゃない。

雅のことも、陸のことも。
でも……


そのせいで部活が進まないって理由にしたくなくて。

忙しくても頭がいっぱいでも、区別してできる人はできるんだって思うから。


だから、誰かに話して自分を甘やかしたくなかった。


「話せないっていうか…
もっとちゃんと気持ちを切り替えなきゃいけないのに、切り替えられない自分が嫌だなって」


雅と一緒にいるときはただ忙しいと感じるけど、ふと構ってもらえなくなるというか…

仕事がなくなって放って置かれると、寂しかったりもして。

自分の気持ちがよくわからないから、なにもできないし。

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