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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

うわぁ……長っ……


この角度から見るからそう思うだけなのかもしれないけれど

花木君の眼鏡の奥の睫毛が凄く長く見えてしまって。

少し白い肌で、一体どんな手入れしたらこんな綺麗な肌なの?!

ってくらい男の癖に綺麗な肌で。



……読書してれば肌に良いのか?



いやいや。

そんな事はない、ハズ。多分。


なんて1人でツッコみ。


10年。

花木君に想いを寄せて来て、10年。
こんな至近距離で彼をまじまじと見るなんて、

しかも、こんな状況でこの角度から見るなんて初めてで。


凄く凄くドキドキしちゃって、バクバクしちゃってるんだけれど




なんだろう……。




目を綴じて、じっとあたしの肩に頭を乗せてる花木君を見ていると

少しづつ鼓動も落ち着いて来て





トクン、トクン、トクン、トクン―――――





何だか妙に優しい気持ちになって行って。

あたしの中の毒が解毒されてるんじゃないか?って気になって行って





微笑が零れる。




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