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陽だまりの仮面 -嘘-

第1章 2面性

砂羽とは、最初居た小学校の同級生。

離れた後も連絡はちょこちょこ取り合ってて。

あたしがここの高校を受験すると言ったら砂羽も便乗。


久々に見たあたしのギャップに驚いてた砂羽の顔が今でも思い出すと滑稽だ。


演じてる本当の理由は、当然の如く





花木君の好みの女性になるため。





ただ、これだけの理由なんだけれど…


それを砂羽にストレートに伝える事は、何だか照れ臭くて。



あたしが“恋”だの“愛”だの

そんなモノのために演じてるなんて話するのが何だか恥ずかしくて。


だから、砂羽には“人気者”なんて嘘吐いた。


だから、砂羽はあたしがずっとこの10年間

片思いしてる事は、知らない。




10年……。



――花木君を好きになって、10年。


花木君の理想に近づきたくて、演じて来て、10年。




「ハァ……」


「何よ、溜息なんか」


「べっつにー」



何の進展もないのが、滑稽過ぎる。




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