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陽だまりの仮面 -嘘-

第9章 琉愛×仮面

“ありがとう”と砂羽にお礼を言って、ミルクティーを一口ゴクリ。



「いや、だからさ…」


あたしなんかが告ったとこで花木君はあたしの事なんか……


そう言おうとした言葉を


「そんなの分かんないじゃん」


あっけらかんとした砂羽の言葉に遮られる。


砂羽は相変わらずニヤニヤした笑みをあたしに向けるけれど、あたしは伏し目がちに溜息1つ。


「分かるって」


「あんたが気にしてんのって、普段猫かぶっちゃってまーす!ってのがバレたらって思ってんでしょ?」


「まぁ、そうだけど。」



あたしをか弱いと思ってるんだもん。

あたしをいつもニコニコしてて、“NOと言えない牧村琉愛”だと思ってんだもん。



「ホントのあたしを知ったら今の関係よりも悪化しちゃうよ」



「だから、分かんないじゃんっつってんじゃん」


「だから、分かるっつってんじゃん?」


「そうかな~。あの花木だよ?」


「何よ」


「あの寡黙で友達は本しかいません。みたいな暗い男がよ?

琉愛を抱き締めたり、橘に挑んでみたり。

挙句に“キス”までしちゃうんだよ?」



“キス”という単語に妙に力を込めて強調する砂羽の言葉で、図書室での手首に軽くキスをされた事を思い出し

カァーっと熱くなる、あたしの顔。




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