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陽だまりの仮面 -嘘-

第10章 初デート

突如、頭上から降り注ぐ、声。

聞き覚えのある、優しく澄んだ声。

が、あたしの鼓膜を震わせた瞬間、あたしの思考は一気にフリーズ。


そんなあたしに


「だから言ったろ?ヘボい隠れ方すんなって」


「愛輝!!もう…。

ほら、ママが読んでるから行こっ?」



軽く可愛らしく手を振って去って行く双子の女の子。

と、その後ろをふてぶてしく歩いてついて行く男の子を見つめながら


あたしの全意識は、当然頭上の“声の主”で。



「かくれんぼ、してるつもりですか?」



不思議そうな声質で尋ねてくる声は



「僕も、参加した方が良い、ですか?」



ですます口調に、自分の事を“僕”なんて呼ぶ人間なんてあたしの周りには、ただ1人しか居なくって。


その声の主を特定した瞬間、ボボボッと燃え滾るように真っ赤になる顔を両手で押さえながら


ゆっくりと頭上へと向くと。



そこには



「琉愛?」



優しく首を傾げながらあたしを見下ろす



花木君がそこに、居た。





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