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陽だまりの仮面 -嘘-

第10章 初デート

棚に入らず、置かれてる本を試しにパラパラっと捲ってみるけれど

中身はまるで蟻か?!と思うくらいの小さな文字……

いや、もはや“点”が1ページに凝縮されてて。

捲っただけでもその本に対して嫌悪感。

しかも、ほぼ英文!


「洋書が好きなの?」


「大抵の本は読み尽くしてしまったんで」



読み尽くしたって…。

凄過ぎるよ!!花木君!!



「琉愛は読みますか?」


って、1冊の洋書を手に取り“ん?”みたいな顔してあたしに問うけれど

あたしの今の愛読書は、誰にも言ってないけれど


【君に届け】


所謂、少女漫画。

風早君にキュンキュンしちゃってるヤツなのに、洋書なんて読むわけが、ナイ!



「ううん!読まないかな」


「そうですか…」


ボソリと呟き、手に取った本をそっと元に戻して、また、目の前の本を物色し始める花木君。


たまーにパラパラッと捲ってみたり、並ぶ本を凄く楽しそうに見つめてみたり。

何だかいつもより眼鏡の奥の瞳がキラキラしてるように見えて



あぁ…

本当に本が好きなんだなぁ…



って、しみじみ感じながら、そんな花木君が見れた事が何だか分からないけど嬉しくて

全く興味のない本の前でも、幸せを感じてしまうあたしは、終始ニコニコしながら洋書を見てる、フリ。



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