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陽だまりの仮面 -嘘-

第10章 初デート

花木君の言葉の意味が良く分からず思わず首を傾げるあたしをクスッと笑って


「じゃぁ、行きますよ」



の言葉と共に、花木君の腕に絡めてたあたしの腕をそっと持ったと思うと

再び繋がれた、花木君の左手とあたしの右手。


数分ぶりに戻る彼の温もりに、少し落ち着きを戻しつつあったあたしの心臓は、また少し



トクン―――……



音を立てる。



何だか照れ臭くてはにかむあたしに優しく微笑し、歩き始める花木君。



だけど。



「あ、‼ちょっと待って、本…」


花木君お薦めの小惑星図鑑を元の位置へと戻そうとすれば



「それは持っててください」


少し本棚へと伸ばした腕を掴まれ阻止される。



「え?」


「それは必要なので」


そう言ってあたしの手からスッと小惑星図鑑を抜き取り小脇に抱え

何も言わず歩き出す花木君について



へぇ……。


この図鑑が欲しかったのか…。


あ!

だから本持ってなかったのか!!



なんて1人で妙に納得。


花木君に遅れないように、あたしもレジへと歩み始めた。





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