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陽だまりの仮面 -嘘-

第10章 初デート

「はい、これ」


「え?」


「琉愛にあげます」



本屋を出て、花木君の手と繋がってない逆の手にポンと乗せられた1つのチョコ。


m&mのマーブルチョコ。


……なんで、このチョコをあたしに?

なんで、m&m……


不思議に思いながらふと彼を見上げると、そこには優しい表情の彼が居て。



「好き、なんでしょ?」



―――――えっ…!?



「そのチョコ、好き、なんでしょ?」


「ッ…、

どうして……?」



どうしてあたしがm&mのチョコが好きだって事

知ってるの…?



思わず目をパチクリさせるあたしに、花木君は眼鏡を押さえながら、ハァ…と溜息を1つ。



「どうしてって、聞きますか?」


「へ?」


「あれだけ隣りでほぼ毎日のように

“このチョコ大好きなんだよねー!”
と大声で連呼されれば誰でも覚えますよ」


「あ……」



そうだった。

学校の休憩時間、必ずと言っていいほどm&mのチョコを食べてるあたし。

もう、随分と食べてるのに飽きなくって

随分と食べてるのに、美味しさに感動しちゃってて。

毎時間、確かに


“美味しいッッ‼‼幸せ~~~~~♪♪”


と連呼しちゃってるな。あたし。




「煩くてすみません」


「もう、慣れました」


「………スミマセン」









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