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陽だまりの仮面 -嘘-

第10章 初デート

じゃぁ、あそこに行きましょうか。って言いながらあたしの返事を待つ事もなく、あたしの手を引いて歩く花木君に素直に従い、歩く彼の隣り。


いつもより1枚薄く着込んでも全然寒くないくらい暖かい陽気に包まれながら

ドキドキしながら、歩く彼の隣り。


何だかそれだけで胸がいっぱいになってしまって、いつも無駄に喋りまくるあたしの口も

今日は無駄に、静か。


「駅前のファミレスでも良いですか?

それとも、別のパスタ屋さんに行きたいですか?」


「あ、どこでもいいよ?」


「すみません」


「へ?」


な、何?


突如謝る花木君に驚いて、パッと花木君を見上げれば

そこには眉を下げて、本当に申し訳なさそうな顔をした彼。



「どうしたの?」


何だか花木君の表情につられて、あたしまで眉が下がる。


「僕、あまり気の利いたお店知らないので…。

ファミレスでいいですか?」





………。




………。




………えっと…?







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