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「取り敢えず、座りましょうか」


「あ、うん…」


“どうぞ”と自分の隣りをポンポンと叩いて直ぐ近くにあったベンチに座るように誘導する花木君の隣りに、ちょこんと腰を下ろす。


何だか…。


ポンポンっていうさりげない仕草が

くすぐったくて、照れ臭い。



そんなあたしの顔を覗き込むようにして首を傾げ、優しい眼差しを向ける。



「何だか、今日はバタバタでしたね」



あ……。



「ご、ごめんなさい！悠希が…」


「いや、大丈夫ですよ。琉愛のお兄さんは“有名”ですし」



“でも、実際に体験すると凄まじさはありましたけどね”


って苦笑しながら言う花木君の言葉に、あたしは穴があったら入りたいと心底今日ほど思った事はない。


と、同時に


あまり人の事に興味を持たない花木君にでさえ知られてる悠希が

何だかちょっと羨ましくも思えたりもして

これまた、何だか複雑な心境に陥る。