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陽だまりの仮面 -嘘-

第12章 思いもよらない結末

砂羽が言ってた事が、今になって分かった気がする。


“誰かに取られても知らないよ”


その“誰か”が、誰なのか分からないけれど。

もしかしたら美樹なのか、美樹以外なのかは分からないけれど。



そっと本から再び花木君へと流すと、やっぱりそこには相変わらずの黒縁眼鏡の優しい顔した彼が居て。


何ら、イケメンでもなければ普通の彼。

みんなが注目するような人でもなければ、何かが目立つわけでもない、ごくごく普通の彼。


というか、普通以下なくらい影の薄い彼。



だけれど、あたしには最高な人で素敵な人で。

この10年間、脇目も触れず彼だけを見て来た。


それだけで良かった。

それだけで満足だった。

影から見てるだけで十分だった。

これからもそのつもりだった。




――――だけど……。




彼の温もりを知ってしまったあたしは

彼の優しさを間近で感じてしまったあたしは



“こんな罰ゲームとか?”


“惑星、琉愛が好きだと”



彼から、ときめきを感じさせてもらったあたしは





今日………。




初めて思ってしまった。








他の女(ヒト)に向けて欲しくない




って―――――。





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